アルトサックスでソロコンテストの曲を練習している生徒のイメージ写真

アルトサックス ソロコンクール曲ガイド|中学生・高校生・音大受験まで25曲を難易度別に徹底解説(演奏時間・カット・出版社つき)

記事公開日:2026年8月16日、最終更新日:2026年8月16日

アルトサックス ソロコンクール曲ガイド|目次

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監修:TOKYOミュージックカラー音楽教室

このページは、アルトサックスでソロコンテスト・ソロコンクールに出場する中学生・高校生と、音大受験を考えている方に向けた選曲ガイドです。
 曲名を並べるだけでなく、作曲者・作曲年・曲の背景・演奏のポイント・難易度・伴奏形態・演奏時間・フラジオの有無・出版社・カットのパターンまで、実際に選曲するときに必要な情報をすべてまとめました。

サックスのソロコンテストの楽譜を選んでいるオリジナル写真

この記事を読むとわかること

選曲は「3つの条件」で決まる

ソロコンの選曲でつまずく人のほとんどは、曲名から探し始めています。しかし先に決めるべきは条件です。条件が決まれば候補は自然に絞られます。

この3つを先に決めてから曲を探すと、選び直しがなくなり練習時間を最大化できます。逆に「かっこいい曲」から入ると、あとから時間オーバーやフラジオで詰んでしまうことが本当に多いです。

そのうえで「吹いてみたい曲」を選ぶ

条件をクリアした候補の中からは、必ず自分が「吹きたい」と思った曲を選んでください。コンクールに向けて何か月も練習する曲が、吹いていてつまらない曲では練習意欲も湧かず、演奏のアイデアも浮かんできません。

演奏時間別の早見表

制限時間から逆算して候補を絞るための早見表です。カット不要でそのまま収まる曲を中心に選んでいます。

3分以内で収まる曲

4分以内で収まる曲

5分以内で収まる曲

7分以内で収まる曲

ソロコンテストに向けてサックスとピアノで合わせ練習をしているオリジナル写真

中学生向け|はじめてのソロコン曲

中学生の選曲基準は明確です。フラジオを使わない・カットが不要・ピアノ伴奏が難しすぎない。この3つを満たす曲から選びます。

シャンソンとパスピエ Op.16/リュエフ

ソロコンで最も多く演奏される定番曲です。「シャンソン(歌謡・小唄)」と「パスピエ(17〜18世紀に好まれた快活な舞曲)」の2部構成で、ゆったりした美しい旋律と技巧的な後半が続きます。音色とテクニックの両方をアピールできる構成が人気の理由です。ピアノ伴奏も比較的やさしい部類に入ります。

演奏のポイント

アンダンテとアレグロ/シャイユー

「シャンソンとパスピエ」と並ぶ二大定番です。ゆったりしたアンダンテと技巧的なアレグロという構成も、難易度もほぼ同等。迷ったら好きなほうを選んで問題ありません

演奏のポイント

ヴァカンス/ダマーズ

このページで紹介する中で最も演奏難易度が低い曲です。テンポも♩=76と全体的にゆったりしており、中学生が初めて取り組むソロ曲として最適です。

演奏のポイント

愛の喜びは/マルティーニ

原曲は有名なフランスの歌曲です。サックスの巨匠マルセル・ミュールの名曲集に収録され、学習者の定番になりました。出しやすい音が多く、楽器を始めたばかりでも取り組めます。

演奏のポイント

6つのロマンティック組曲/プラネル

「イタリア風セレナーデ」「踊り子たち」「悲しい歌」「感傷的なワルツ」「クリスマスのお話し」「ラバ引きの歌」の全6曲。曲ごとに求められる技術が違う(歌心・タンギング・リズム)ので、得意分野に合わせて曲を選べるのが最大の利点です。

ヴァイオリン・ソナタ 第6番/ヘンデル

サクソフォンが発明されるはるか昔のバロック時代の音楽です。耳なじみがよく、技術的な難易度も高くないので、ピアノとのアンサンブル感覚を学ぶのにぴったり。練習するときは、ぜひヴァイオリンの演奏も聴いてみてください。

中学生がアルトサックスでソロコンテストの曲を練習しているオリジナル写真

高校生向け|入賞を狙う曲

高校生になると、組曲・多楽章の作品から抜粋するという選択肢が広がります。抜粋の組み合わせ次第で、制限時間にぴったり合わせながら見せ場を作れるのが強みです。

プロヴァンスの風景/モーリス ※組み合わせ自在

南フランス・プロヴァンス地方の風物を描いた組曲で、マルセル・ミュールに献呈されたフランス・サクソフォン楽派の代表作です。

おすすめのカットパターン

演奏のポイント

ソナタ Op.19/クレストン ※サックス学習者の必修曲

アメリカのサクソフォン奏者セシル・リーソンのために書かれた作品で、「サクソフォンを勉強する人の9割以上が取り組む」と言われる最重要のソナタです。

おすすめのカットパターン

演奏のポイント

スカラムーシュ/ミヨー

フランス六人組の一員ミヨーの代表作。ブラジル音楽の影響を受けた終曲「ブラジレイラ」が特に有名です。

おすすめのカットパターン第1楽章単独が最人気。第3楽章も選択肢になります。第2楽章は美しい旋律ですが、コンテストという意味では第1・3楽章がおすすめです。

演奏のポイント

アリア/ボザ

サックスのために書かれた作品ですが、その美しい旋律からフルートやクラリネットなど他の楽器でも演奏される名曲です。1度は取り組んでおきたい曲。

ただし、終始ゆったりしたテンポなのでテクニックで魅せる曲ではありません。入賞まで狙うなら相当に曲を研究して臨む必要がある、ハイリスク・ハイリターンな選曲です。

演奏のポイント

バラード/アルフレッド・リード

吹奏楽で絶大な人気を誇るリードの作品です。速い連符や速いタンギングといった技術的な難易度はそこまで高くありませんが、音色・音程・発音とリリース・レガートで勝負する曲。テンポはゆったりですが、後半は非常に鮮やかな音楽が展開されるので決して地味な曲ではありません。

組曲/ボノー

全4曲からなる組曲で、通常は第1曲「即興曲」+第2曲「悪魔の踊り」を抜粋します。第1曲はサックスのソロから始まりピアノとの掛け合いが美しく、第2曲は軽快なリズムとアーティキュレーションが特徴。リュエフやシャイユーよりやや難易度は高めです。

プレリュードとサルタレロ/プラネル

プレリュードで歌と音色を、サルタレロで技術をアピールできる構成です。中間のカデンツ部分はピアノ伴奏なしの独奏。カデンツの難易度が高めなので、カットすると難易度がぐっと下がります。

演奏のポイント

アディオス・ノニーノ/ピアソラ(啼鵬 編曲)

「技巧的な無伴奏 → ピアノを入れて歌うメロディ → フラジオを伴う壮大なメロディ」という、ソロコンのために作られたような構成。コンサートで演奏しても非常に受けが良い曲です。

演奏のポイント

オリジナルの主題による幻想曲/ドゥメルスマン

サクソフォンの発明者アドルフ・サックスと同時代の作曲家による、サクソフォン初期のオリジナル作品です。非常に完成度が高く、ピアノとのアンサンブル・フレージング・連符などさまざまな技術を1曲で学べるため、指導者からの評価が非常に高い作品です。

小協奏曲 Op.78/サンジュレー

アドルフ・サックスと親交があり、サクソフォンのために多数の作品を残した作曲家です。古典的で技巧的な作風で、正確な運指とスケールの流暢さ、そしてロマン派的な歌い回しが求められます。

高校生がアルトサックスでコンクールの曲を練習しているオリジナル写真

音大受験・上級者向けの曲

ここからは音楽大学の受験や、日本管打楽器コンクールをはじめとする上位大会で実際に使われている作品です。高校生でも実力があれば十分に挑戦できます。

プレリュード、カデンツとフィナーレ/デザンクロ ※受験の定番

パリ音楽院サクソフォン科(マルセル・ミュールのクラス)の卒業試験曲として書かれた作品で、フランス・サクソフォン楽派の到達点とされる名作です。日本の音大入試・コンクールで最も多く演奏される自由曲のひとつ。2025年 第40回日本管打楽器コンクール サクソフォーン部門の第2次予選 選択曲にも指定されました。

室内小協奏曲(コンチェルティーノ・ダ・カメラ)/イベール

サクソフォン奏者シガード・ラッシャーのために作曲された、サクソフォン協奏曲の最高峰のひとつ。細かい16分音符・複雑なリズム・フラジオと技術的難易度はかなり高いですが、内容の濃い作品です。「この曲でフラジオのコツを掴んだ」という奏者が非常に多い、フラジオ習得の登竜門でもあります。

協奏曲 変ホ長調 Op.109/グラズノフ

シガード・ラッシャーの委嘱により、作曲者晩年に書かれたロシア・ロマン派の名作です。単一楽章で緩急のセクションが連続する構成のため、カットする場合はセクション単位での判断が必要になります。判断が難しいので、必ず指導者に相談してください。

ソナタ 嬰ハ調/デュクリュック

フランスの女性作曲家によるソナタで、近年再評価が急速に進んでいる作品です。しなやかな旋律が魅力ですが、ピアノとのアンサンブルや細かいパッセージがあり難易度は高め。2025年の日本管打楽器コンクールでも選択曲に指定されました。

協奏曲/トマジ

2025年 第40回日本管打楽器コンクール サクソフォーン部門の本選課題曲(全楽章)に指定された、プロレベルの作品です。

ソナタ/デニゾフ

フランスのサクソフォン奏者ジャン=マリー・ロンデックスに献呈された作品。第3楽章にジャズの語法が取り入れられ、現代サクソフォン作品の代表作となりました。

ファジイバード・ソナタ/吉松隆

須川展也さんのために作曲された、日本のサクソフォン作品で最も国際的に演奏されている曲です。ロック・ジャズ・ミニマルの語法を取り込んだ3楽章構成。

アルペジオーネ・ソナタ イ短調 D821/シューベルト

2025年 第40回日本管打楽器コンクールの第2次予選 課題曲(第1楽章・繰返しなし)に指定されました。技術よりも古典派〜ロマン派の様式感と歌い回しが問われる曲です。

音大受験で使われるエチュード

音大受験に向けてサックスの練習曲に取り組んでいるオリジナル写真

無伴奏(ピアノなし)で吹ける曲

学校によっては、ピアノ伴奏者の確保が最大のハードルになります。その場合は無伴奏作品という選択肢があります。

ワルツ形式によるカプリス/ボノー

フランスの無伴奏サクソフォン作品の代表格です。ピアニストが見つからない場合に重宝される曲ですが、演奏難易度はかなり高めです。

プロの録音を聴くと特別難しそうには感じないかもしれません。しかし実際に練習してみると印象が全く変わります。譜読みだけでかなりの時間がかかる曲ですので、覚悟を持って取り組んでください。

演奏のポイント

プレリュードとサルタレロ より カデンツ/プラネル

前述の「プレリュードとサルタレロ」の中間のカデンツ部分は無伴奏です。全曲は難しくても、この部分を活用するという方法があります。独奏特有のテンポ感と間の取り方を学ぶ教材としても有効です。

カットの正しい考え方

制限時間内に収まる3分・4分の曲を探すのは、意外と大変です。そこで「カット」を考えることになりますが、ここには大きな落とし穴があります。

やってはいけないカットの理由づけ

当たり前ですが、そもそもカットすることを想定して書かれている曲はありません。不自然なカットは逆効果になる可能性があります。やむを得ずカットする場合は、和声の進行や音楽的な流れがなるべく自然になるようにしなければならず、これは非常に難しい作業です。

おすすめの対応順序

カットしやすい曲・しにくい曲

制限時間のルールは大会ごとに違う

制限時間のルールには、大きく2つのパターンがあります。

後者のほうが多い印象ですが、「過ぎたら失格」という大会も存在します。必ず要項をよく読んでください。

サックスの楽譜にカット箇所を書き込んでいるオリジナル写真

選曲でよくある5つの失敗

失敗1|ピアノ伴奏の難易度を確認していない

実は、サックスよりもピアノ伴奏のほうがはるかに難しいケースが多いです。ピアノ伴奏をお願いする人と、必ず一緒に選曲をしてください。

また、ピアノ伴奏は完璧に弾けたら素晴らしいですが、曲によっては「一部の音を抜く」ことも考えて演奏してみてください(プロのピアニストでも、曲によっては音を抜いています)。

失敗2|難しい曲を選べば評価されると思っている

ソロコンでは音楽的な面・技術的な面を評価されるので難しい曲を選びがちですが、大切なのは「どれだけ洗練された演奏ができるか」です。

どれだけ曲が難しくても「リズムや連符が正確に吹けていない」「高い音が当たっていない」「ピアノ伴奏と合っていない」といった荒さの目立つ演奏では、結果はなかなか望めません。逆に、技術的な難易度が多少低くても美しく洗練された演奏であれば、きちんと結果に結びつきます。

失敗3|フラジオが必要な曲を選んでしまう

中学生や楽器を始めて間もない方は、フラジオが不要な曲に候補を絞るのが現実的です。

失敗4|練習期間から逆算していない

コンクールまでの期間は人それぞれです。1か月しか時間がないのか、半年かけてじっくり練習できるのかによって選ぶべき曲は変わります。

いずれにしても、当日に楽譜が正確に吹けていることはもちろん、音楽の内容をしっかり考えながら演奏できるところまで練習できる曲を選ぶことが重要です。

失敗5|楽譜の書き換え規定を見落としている

ジャズ・タンゴ系の曲では、リズムを楽譜から少し変えて演奏する解釈が一般的なことがあります。しかしコンクールによっては「楽譜の書き換え禁止」という規定があります。必ず要項を確認してください。

中高生が出場できるコンクール一覧

全日本中学生・高校生管打楽器ソロコンテスト

日本ジュニア管打楽器コンクール

日本管弦打楽器ソロ・コンテスト

全日本ジュニアクラシック音楽コンクール

日本クラシック音楽コンクール

日本管打楽器コンクール(管打コン)

このほか、各都道府県の吹奏楽連盟が主催するソロコンテストやアンサンブルコンテストのソロ部門、中部日本個人・重奏コンテストなどがあります。地域によって規定が大きく異なるので、必ず要項を確認してください。

サックスのソロコンテストの本番前に調整をしているオリジナル写真

アルトサックス ソロコンクール曲ガイド Q&A

Q.アルトサックスのソロコンテストで人気の曲は何ですか?

A. 最も多く演奏されるのはリュエフ「シャンソンとパスピエ」シャイユー「アンダンテとアレグロ」です。どちらも3分半程度でカットが不要、ゆったりした前半と技巧的な後半という構成で、音色と技術の両方をアピールできるためです。

Q.ソロコンテストは難しい曲を選んだほうが有利ですか?

A. 有利とは限りません。評価されるのは「どれだけ洗練された演奏ができるか」です。難曲でも荒さが目立てば結果は出ません。技術的難易度が多少低くても、美しく仕上がった演奏のほうが評価されます。

Q.曲が制限時間に収まらないときはカットしてもいいですか?

A. カット自体は可能ですが、そもそもカットを想定して書かれた曲は存在しないため不自然なカットは逆効果になります。最も安全なのは、はじめからカットが不要な長さの曲を選ぶことです。

Q.ピアノ伴奏者が見つからない場合はどうすればいいですか?

A. 無伴奏(サックス1本)の作品を選ぶという方法があります。代表曲はボノー「ワルツ形式によるカプリス」です。ただし難易度は高めなので、実力に応じた判断が必要です。

Q.中学生でも吹けるソロコンテスト曲はありますか?

A. あります。ダマーズ「ヴァカンス」、マルティーニ「愛の喜びは」、プラネル「6つのロマンティック組曲」などはフラジオが不要で、演奏時間も2分半〜3分と制限時間にそのまま収まります。

Q.フラジオが必要な曲はどれですか?

A. クレストン「ソナタ」第1楽章、ピアソラ「アディオス・ノニーノ」、イベール「室内小協奏曲」、デザンクロ「プレリュード、カデンツとフィナーレ」などです。フラジオがまだ安定していない段階では、フラジオ不要の曲から選ぶのが安全です。

Q.音大受験ではどんな曲が使われますか?

A. 多くの音楽大学でフェルリンク「48の練習曲(ミュール増補改訂版)」からの出題があり、これに自由曲を組み合わせる形式が一般的です。自由曲ではデザンクロ、クレストン、イベール、モーリスなどが定番です。

Q.ソロコンテストの演奏時間は何分ですか?

A. 大会によって異なります。全日本中学生・高校生管打楽器ソロコンテストは4分以内です。地方予選では3分という場合もあり、本選や全国大会になると7分・10分と長くなる傾向があります。

サックスのソロコンテストの選曲について相談している様子のオリジナル写真

まとめ|選曲は「条件から逆算」すれば失敗しない

ソロコンテストの選曲で大切なのは、かっこいい曲から探さないことです。

サックスの基礎から見直したい方は、サックスの吹き方を丁寧に解説したページもあわせてご覧ください。楽器をお持ちでない方は楽器サブスクもご利用いただけます。

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この記事の監修・執筆者

監修:TOKYOミュージックカラー音楽教室

執筆者:澤田圭司。元兵庫県警察音楽隊クラリネット兼サックス奏者。指導歴:20年。指導実績:コスマコンクール金賞受賞、大阪音楽大学、東京音楽大学、京都芸術大学など多数。演奏経験:兵庫県内各地でリサイタル及びイベント演奏を行う。特技:剣道2段、けん銃中級、逮捕術初級。キッズサックス(子ども用サックス)の開発者。

※本記事は現役指導者が実際のレッスン現場で多い質問と、コンクール要項・課題曲の公表情報をもとに執筆しています。演奏時間・難易度は演奏者やテンポによって変動します。楽譜の版によって表記が異なる場合がありますので、詳細は楽譜現物でご確認ください。

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