記事公開日:2026年8月16日、最終更新日:2026年8月16日
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このページは、クラリネットでソロコンテスト・ソロコンクールに出場する中学生・高校生と、音大受験を考えている方に向けた選曲ガイドです。
曲名を並べるだけでなく、作曲者・作曲年・曲の背景・演奏のポイント・難易度・演奏時間・カットのパターン・出版社まで、実際に選曲するときに必要な情報をまとめました。
ソロコンはほとんどが自由曲です。だからこそ、自分の力が発揮できる曲を選ぶことで、自分の良さを審査員にアピールできます。
選曲でつまずく人の多くは、曲名から探し始めています。しかし先に決めるべきは「自分の得意はどこか」です。
自分の良い部分を聴かせられる箇所が多く、さらに緩急がついた曲だと聴き映えがして、審査員も飽きずに聴くことができます。
条件をクリアした候補の中からは、必ず自分が好きだと思う曲を選んでください。ソロコンは本番に向けて何度も何度も練習することになります。嫌いな曲より好きな曲のほうが、練習も演奏のアイデアも続きます。
この記事では、各曲に「クラリネットを始めて何年目で挑戦できるか」の目安を記載しています。選曲の判断材料にしてください。
クラリネットが他の管楽器と大きく違うのは、音域が非常に広いことです。そして重要なのは、音域によって音色の性格が変わるという点です。
つまり「クラリネットが上手い」と一言で言っても、どの音域が得意かは人によって違うのです。ここがサックスやフルートとの決定的な違いです。
たとえばウェーバー「小協奏曲」は、クラリネットの良さを出すために音域が非常に広く書かれています。そのため「全ての音域で音色が良い人」向けの曲です。一方で、中音域を中心に歌う曲であれば、高音がまだ不安定でも十分に勝負できます。
憧れだけで選ばず、必ず使用音域を確認してから決めてください。
ドイツ・ロマン派を思わせるような、流麗で美しい作品です。とにかく綺麗に、存分に歌う曲が吹きたいという人におすすめ。
この曲が中学生に最適な3つの理由
カット:楽章単位で選択します。複数楽章を組み合わせて時間を調整することも可能です。
ゆったりとした、非常に美しい作品です。クラリネットを始めて1〜2年だけれど、本格的な曲を吹いてみたいという人にぴったり。
ゆったりと歌う曲調ですが、中間部には少しテクニカルな部分もあり、なかなか歯ごたえのある作品です。「簡単な曲」ではなく「取り組みやすい名曲」と考えてください。
フィンジはイギリスの作曲家です。日本ではあまり有名ではありませんが、この「5つのバガテル」はクラリネットの演奏会でしばしば演奏される定番曲。明るくて綺麗で、とても良い曲です。
カット:ソロコンテストでは第1曲がおすすめです。3分30〜45秒程度なので、カットせずに制限時間に収めることができます。
ドイツ・ロマン派初期の作曲家ウェーバーが書いた、クラリネットとオーケストラのための作品です。原曲はオーケストラですが、クラリネットとピアノで演奏される機会も多く、ソロコンテストの定番となっています。
曲の特徴:徐々に緩やかなテンポから急なテンポへと変化していきますが、超絶技巧の域まではいかないので、実力に自信のある中学生でもチャレンジできる楽曲です。
最重要の注意点:クラリネットの良さを出すために、使用する音域が非常に広く書かれています。「全ての音域で音色が良い人」向けの曲なので、自分が無理なく演奏できる音域になっているかを事前に必ず確認してください。
カット:単一楽章ですが3部分から構成されているのでカット可能です。制限時間に応じて演奏する部分を決めます。
この曲の価値:プロも演奏することの多い曲で、一曲の中に色々なものが詰め込まれています。テクニック的には中学生でも吹けますが、良い演奏をするのは難しい。だからこそ、この曲に挑戦すること自体が大きなレベルアップにつながります。
誰もが知っている大作曲家サン=サーンスの作品で、まさに名曲です。4楽章あるのでどれかの楽章を選んで演奏することになりますが、楽章によって特性が全く違います。ここが選曲の鍵です。
ソロコンで演奏するなら第1楽章か第4楽章がおすすめです。第1楽章はゆったりと歌う曲、第4楽章は情熱的でテンポの速いテクニカルな曲。第4楽章はかなり難易度が高いですが、腕に自信があるなら挑戦する価値があります。
ヴァイオリンで弾くことが多い「チャルダッシュ」は、クラリネットで演奏しても非常に映える曲です。
前半はゆったりと聴かせる部分があり、後半はテンポがものすごく速くなって、指を速く動かすテクニックを披露できます。一曲の中で大きく緩急がつくので聴き応えがあり、特に指回しに自信のある人におすすめです。
注意:知名度が高いぶん、聴き手の中に「良い演奏の基準」ができています。中途半端な仕上がりだと粗が目立ちやすい点は覚えておいてください。
オペラ「椿姫」の中の有名な曲が入っています。前半でオペラの美しい歌をクラリネットで演奏することになるので、特に歌心を持っている人におすすめです。良い音色で演奏できるとさらに映えます。
そして最後の方は指もしっかり動かすので、テクニックも見せることができます。歌と技術の両方をアピールしたい方に向いています。
クラリネットのソロコン選曲で知っておくべきなのが、パリ音楽院の試験曲・卒業試験曲として書かれた作品群の存在です。
これらの曲には共通の設計思想があります。短い時間の中で、奏者の技術と音楽性を審査員に見せるために書かれているということです。つまり構造的にコンクール向きなのです。
代表的な作品が、次に紹介するメサジェ、ラボー、ヴィドールの3曲です。
ソロコンテストで演奏される、最も有名な曲と言っても過言ではありません。
背景:当時パリ音楽院の教授であったクラリネット奏者シリル・ローズの委嘱を受け、パリ音楽院クラリネット科の卒業試験曲として作曲されました。同名のラボーの作品とともに、現在ではクラリネットソロの重要なレパートリーとしてコンクールや演奏会でよく演奏されています。
曲の特徴:明るくて華やかで、テクニックが必要な曲です。快活な部分とメロディアスな部分が非常にバランスよく配置され、表情豊かな一曲になっています。フランスの音楽大学の卒業試験曲として書かれているため高度な演奏技術と音楽性が求められますが、逆に言えばそれだけ音楽的にアピールできる要素が強い1曲です。
演奏のポイント:後半にスタッカートがたくさん登場します。指回しだけではなくタンギングの技術も問われるので、指が速く回って、はっきりとしたタンギングもできる方におすすめです。
カット:約6分の楽曲ですが、制限時間が6分未満の場合であっても、カットして演奏される方も多くいらっしゃいます。
対象:中学生には少し難しいので、高校生向けにちょうど良い難易度です。
クラリネットのカデンツァから始まるのがこの曲の最大の特徴です。なんだかちょっと懐かしいような響きがする作品で、技術的にそこまで難しいわけではありませんが、パリ音楽院の試験曲として書かれているだけあってしっかり聴かせることができます。
向いている人:最初にちょっと複雑なカデンツァから始まるので、最初からどっしり構えられる、プレッシャーに強い人におすすめです。逆に言えば、本番で最初の音に緊張しやすいタイプの方には、リスクの高い選択になります。
難易度:メサジェよりやや易しく、メサジェに進む前の一歩手前として位置づけると自然です。
テクニカルな部分と歌う部分のバランスが良い作品です。美しくて聴きやすく、人気のある曲でもあります。クラリネットの魅力が十二分に活かされた曲なので、ぜひ挑戦してみてほしい1曲です。
向いている人:結構高い音まで出てくるので、高音を美しく出せる人におすすめです。
注意点:リズムが難しいところがあるので、楽譜通り正確に演奏できることも大切です。また、ピアノ伴奏との合わせも少し難しめなので、合わせ練習の時間を多めに確保してください。
難易度としてはサン=サーンスの第4楽章と同じくらいで、なかなかの難曲です。
カット:ソロコンでは第1楽章か第3楽章がおすすめ。どちらも華やかでかっこいい曲です。演奏時間も第1楽章が約5分、第3楽章が約3分なので、多くの大会の制限時間に合わせやすいのが利点です。
ボザの曲は音が複雑でちょっと難しいのですが、しっかり吹ければ得点も高いという特徴があります。
向いている人:最初に長いカデンツァがあるので、自分一人でもしっかり音楽を感じて、曲の雰囲気をつくれる人におすすめです。
演奏のポイント:後半はスタッカートがたくさん出てくるので、クリアなタンギングも必要です。
ここからは、日本管打楽器コンクールのクラリネット部門で実際に課題曲・選択曲に指定されている作品です。音大受験の自由曲としても定番になります。
クラリネットの近代作品を代表する名曲です。2大会続けて第2次予選の課題曲に指定されており、音大受験を視野に入れているなら必ず通る作品と言えます。
※2024年 第39回では Tema, Var.2, Var.5, Cadence, Var.6 の指定でした。同じ曲でも大会ごとに演奏する変奏が変わるので、必ず最新の要項を確認してください。
※2024年 第39回では第1楽章と第2楽章の指定でした。ブラームス晩年の傑作で、技巧よりも音楽的な深さが問われる作品です。
クラリネット協奏曲の最高峰であり、2大会連続で本選課題曲となっている作品です。
注意:原曲はA管クラリネットのための作品です。学生の方が取り組む場合、B♭管用の楽譜があるかどうかを確認する必要があります。
そもそもカットすることを想定して書かれている曲はありません。不自然なカットは逆効果です。やむを得ずカットする場合は、和声の進行や音楽的な流れが自然につながるようにしなければならず、これは非常に難しい作業になります。
幸い、クラリネットのレパートリーには多楽章の作品や部分構成のはっきりした作品が多く、自然な形で時間調整ができます。
後者のほうが多い印象ですが、「過ぎたら失格」という大会も存在します。必ず要項をよく読んでください。
ソロコンは自由曲です。だからこそ「この曲が好き」だけで選ぶと、自分の弱点が真正面から審査されることになります。指回し・音色・低音・跳躍・高音・タンギングのうち、自分の武器はどれかを先に決めてから曲を探してください。
クラリネットは音域が広く、音域によって音色の性格が変わります。ウェーバー「小協奏曲」のように全音域を要求する曲もあれば、中音域中心の曲もあります。憧れだけで選ばず、必ず使用音域を確認してください。
クラリネットより伴奏の方が難しい曲は珍しくありません。特にヴィドール「序奏とロンド」は合わせが難しめです。伴奏をお願いする人と必ず一緒に選曲してください。身近に頼める人がいない場合は、近くの地域で活動しているピアニストに依頼するのも一つの手段です。
評価されるのは「どれだけ洗練された演奏ができるか」です。難曲でも、リズムが不正確、高音が当たっていない、ピアノと合っていないといった荒さが目立てば結果は出ません。技術的難易度が多少低くても、美しく仕上がった演奏のほうが評価されます。
実際、中学生であればベールマン、ガーデ、フィンジ、サン=サーンスの第1楽章あたりが、難易度的に無理のない選曲になります。
クラリネットにはB♭管とA管があります。モーツァルトの協奏曲 K.622 のように原曲がA管のための作品もあり、学生の方が取り組む場合はB♭管用の楽譜があるかどうかの確認が必要です。楽譜を買う前に必ずチェックしてください。
日本クラリネット協会は、3つのコンクールを開催しています。
ヤング・クラリネッティストコンクールは、予選が動画審査なので遠方の方でも挑戦しやすいのが特徴です。伴奏があるものはピアノ伴奏に限る、出版社の指定がないものはどの出版社の楽譜でも可といった規定があります。開催年によって課題曲・規定が変わるので、必ず最新の要項を確認してください。
このほか、各都道府県の吹奏楽連盟が主催するソロコンテストや、中部日本個人・重奏コンテストなどがあります。地域によって規定が大きく異なるので、必ず要項を確認してください。
A. ソロコンテストで最も有名な曲と言われているのがメサジェ「ソロ・ド・コンクール」です。パリ音楽院の卒業試験曲として書かれた作品で、高度な演奏技術と音楽性が求められます。中学生ではガーデ「幻想小曲集」やフィンジ「5つのバガテル」、高校生ではウェーバー「小協奏曲」やサン=サーンス「ソナタ」もよく演奏されます。
A. 自分の良さが引き立つ曲を選ぶことです。指が速く回る人なら細かい連符の多い曲、音色が良い人ならしっとりと美しい旋律もある曲、リズム感が良い人ならリズミックな曲というように、自分の得意分野から逆算します。さらに緩急がついた曲だと聴き映えがして、審査員も飽きずに聴くことができます。
A. 大きく影響します。クラリネットは音域によって音色の性格が変わります。ウェーバー「小協奏曲」はクラリネットの良さを出すために音域が広く書かれているため、すべての音域で良い音色が出せる人向けの曲です。選曲の際は、その曲がどの音域を主戦場にしているかを必ず確認してください。
A. あります。ガーデ「幻想小曲集 Op.43」は、テクニック的に難しくないのにしっかり聴き映えする曲で、4つの楽章がそれぞれ違う雰囲気なので制限時間や得意分野に合わせて選べます。ベールマン「アダージョ」は始めて1〜2年でも本格的な曲に挑戦したい人向け。フィンジ「5つのバガテル」は第1曲が3分30〜45秒でカットせずに収まります。
A. 楽章によって求められる能力が全く違うので、自分の得意分野で選びます。第1楽章は12/8拍子を美しく歌える人向け、第2楽章は跳躍が得意な人向け、第3楽章は低音が得意な人向け、第4楽章は指が速く回る人向けです。
A. カット自体は可能です。メサジェ「ソロ・ド・コンクール」は約6分ですが、制限時間が6分未満の場合にカットして演奏する方も多くいます。ウェーバー「小協奏曲」も単一楽章ですが3部構成なのでカットできます。ただし不自然なカットは逆効果になるので、楽章単位で選べる曲を選ぶのが安全です。
A. 日本クラリネット協会が主催する日本クラリネットコンクール、ヤング・クラリネッティストコンクール、クラリネットアンサンブルコンクールの3つがあります。特にヤング・クラリネッティストコンクールは20歳以下を対象とした若手のためのコンクールで、予選は動画審査、二次予選と本選は会場での演奏審査になります。
A. 大会によって異なります。全日本中学生・高校生管打楽器ソロコンテストは4分以内です。地方予選では3分という場合もあり、本選や全国大会になると長くなる傾向があります。制限時間を超えると失格になる大会と、演奏を止めるだけで審査に影響しない大会があるため、必ず要項を確認してください。
クラリネットのソロコンテストで大切なのは、かっこいい曲から探さないことです。
楽器をお持ちでない方は楽器サブスクもご利用いただけます。クラリネットのレッスン内容についてはクラリネットレッスンについてのページをご覧ください。
「この曲で本当にいいのか」「自分の得意はどこなのか」「どこをカットすべきか」。ソロコンの準備は、独学だと判断に迷う場面がとても多いです。TOKYOミュージックカラー音楽教室のオンライン特別レッスンでは、選曲の相談からカットの判断、本番の仕上げまで対応しています。
オンラインレッスンのお問い合わせは下記公式LINEやお問い合わせフォームからお問い合わせくださいませ!
執筆者:澤田圭司。元兵庫県警察音楽隊クラリネット兼サックス奏者。指導歴:20年。指導実績:コスマコンクール金賞受賞、大阪音楽大学、東京音楽大学、京都芸術大学など多数。演奏経験:兵庫県内各地でリサイタル及びイベント演奏を行う。特技:剣道2段、けん銃中級、逮捕術初級。キッズサックス(子ども用サックス)の開発者。
※本記事は現役指導者が実際のレッスン現場で多い質問と、コンクール要項・課題曲の公表情報をもとに執筆しています。演奏時間・難易度は演奏者やテンポによって変動します。楽譜の版によって表記が異なる場合がありますので、詳細は楽譜現物でご確認ください。課題曲・規定は年度によって変更されますので、必ず各コンクールの最新の要項をご確認ください。