第4章|スケールとキー

第3章までで、コードの部品はそろいました。
でも実際の曲では、どのコードを使ってもいいわけではありません。曲にはキー(調)があり、キーごとに「仲間のコード」が決まっているからです。
この章では、その土台になるスケールキーを、まるごと押さえます。楽譜のはじめについている♯♭の意味が、読み終わるころには全部わかります。

スケール=音の並びのルール

1オクターブの中には、半音ずつ数えると12個の音があります(ド ド♯ レ レ♯ ミ ファ ファ♯ ソ ソ♯ ラ ラ♯ シ)。

でも曲の中で、いつも12個ぜんぶを使うわけではありません。12個の中から、決まったルールで7個を選び出す。この選び方のことをスケール(音階)といいます。

いちばん有名なスケールがメジャースケール(長音階)。みなさんが「ドレミファソラシド」と呼んでいるものです。

メジャースケールの正体は「全全半全全全半」

ドレミファソラシドを、となり合う音の距離で見てみましょう。第2章で確認したとおり、ミ↔ファ と シ↔ド だけが半音、ほかは全音でした。

ファ
これがメジャースケールの設計図です

全・全・半・全・全・全・半
この並びで音を選べば、どの音から始めても「ドレミファソラシド」に聞こえます。「明るい響き」の正体は、この距離のパターンだったのです。

キー(調)=そのスケールを、何の音から始めるか

では、「ソ」から始めて同じ全全半全全全半を並べてみましょう。

ソ →(全)→ ラ →(全)→ シ →(半)→ ド →(全)→ レ →(全)→ ミ →(全)→ →(半)→ ソ

ミから全音上はファ♯。ファのままだと半音になってしまい、パターンが崩れます。だからソから始めるときは、ファに♯をつけなければならない

これがキー(調)です

キー=どの音を「ド」の位置に置くか。
ドから始めればハ長調(Cメジャー)。ソから始めればト長調(Gメジャー)。始まりの音を主音(しゅおん)といいます。
そして、そのキーで必要になる♯や♭を、楽譜のはじめにまとめて書いたものが「調号」です。毎回いちいち書かなくていいように、最初に宣言しておくわけですね。

ハ長調のスケール譜例(調号なし)
ハ長調(C)=調号なし。ミュージックカラー オリジナル教材「基礎練習シリーズ【スケール】」より
ト長調のスケール譜例(♯1つ)
ト長調(G)=♯が1つ(ファ)。音の並びはハ長調とまったく同じ形です

調号|♯♭が並ぶ順番には法則がある

同じように「レ」から始めれば♯が2つ、「ラ」から始めれば♯が3つ……と増えていきます。そして、増える順番は毎回まったく同じです。

この順番は、丸ごと覚えてしまってください
  • ♯がつく順番 … ファ・ド・ソ・レ・ラ・ミ・シ(F C G D A E B)
  • ♭がつく順番 … シ・ミ・ラ・レ・ソ・ド・ファ(B E A D G C F)

よく見てください。♭の順番は、♯の順番のちょうど逆から読んだものです。片方だけ覚えれば、もう片方は自動的にわかります。

楽譜を見た瞬間にキーを当てる裏ワザ

♯のとき

いちばん右にある♯の、半音上が主音。
例:♯が2つ(ファ♯・ド♯)なら、右端はド♯。その半音上はニ長調

♭のとき

右から2番目の♭が、そのまま主音。
例:♭が3つ(シ♭・ミ♭・ラ♭)なら、右から2番目はミ♭=変ホ長調
※♭が1つのときだけこの手が使えません。♭1つはヘ長調、と覚えてしまいましょう。

15の長調 早見表

調号は最大で7つまで。♯が0〜7個、♭が1〜7個で、合計15の長調があります。

調号日本語コード表記平行調(短調)♯♭がつく音聴く
なしハ長調CAm
♯1ト長調GEmファ
♯2ニ長調DBmファ ド
♯3イ長調AF♯mファ ド ソ
♯4ホ長調EC♯mファ ド ソ レ
♯5ロ長調BG♯mファ ド ソ レ ラ
♯6嬰ヘ長調F♯D♯mファ ド ソ レ ラ ミ
♯7嬰ハ長調C♯A♯mファ ド ソ レ ラ ミ シ
♭1ヘ長調FDm
♭2変ロ長調B♭Gmシ ミ
♭3変ホ長調E♭Cmシ ミ ラ
♭4変イ長調A♭Fmシ ミ ラ レ
♭5変ニ長調D♭B♭mシ ミ ラ レ ソ
♭6変ト長調G♭E♭mシ ミ ラ レ ソ ド
♭7変ハ長調C♭A♭mシ ミ ラ レ ソ ド ファ
同じ音なのに、名前が2つある調

嬰ヘ長調(F♯)と変ト長調(G♭)は、鳴る音がまったく同じです。嬰ハ長調(C♯)と変ニ長調(D♭)、ロ長調(B)と変ハ長調(C♭)も同じ。これを異名同音調といいます。
どちらで書くかは、♯♭が少なくて読みやすいほう、あるいは前後の調とのつながりで決めます。

MY MUSIC COLOR

15の調のスケール、全部そろっています

この章で使っている「基礎練習シリーズ【スケール】【アルペジオ】」は、TOKYOミュージックカラー音楽教室のオリジナル教材です。全15調ぶんを、会員アプリ「マイミュージックカラー」で順次公開していきます。メトロノーム・チューナー・音楽辞典・音楽ゲームも入って登録は無料です。

無料会員に登録する

メールアドレスまたはLINEで、1分ほどで登録できます。

五度圏|キーの地図

15の調をバラバラに覚えるのは大変です。でもある順番に並べると、きれいな円になります。それが五度圏(ごどけん/サークル・オブ・フィフス)。音楽理論でいちばん有名な図です。

作り方はシンプルで、ハ長調から完全5度ずつ上へ進むだけ。C → G → D → A → E → B …… と進むたびに、♯が1つずつ増えていきます。逆まわり(完全5度ずつ下)に進むと、♭が1つずつ増えます

C Am ♯♭なし G Em ♯1 D Bm ♯2 A F♯m ♯3 E C♯m ♯4 B G♯m ♯5 F♯ / G♭ D♯m / E♭m ♯6 / ♭6 D♭ B♭m ♭5 A♭ Fm ♭4 E♭ Cm ♭3 B♭ Gm ♭2 F Dm ♭1 五度圏 CIRCLE OF FIFTHS ← ♭がふえる ♯がふえる →
外側=長調/内側=その平行調(短調)/いちばん内側=調号の数。右へ進むと♯が増え、左へ進むと♭が増えます。
五度圏の使い方 4つ
  • ①調号がすぐ分かる … 時計の1時=♯1つ、2時=♯2つ。11時=♭1つ、10時=♭2つ
  • ②となり同士は相性がいい … 隣の調は共通する音が6つ。だから転調してもスムーズ(第7章)
  • ③平行調がすぐ分かる … 外側の真下(内側)が、同じ調号の短調
  • ④よく使うコードが見える … ある調の両どなり+内側の3つが、その調でよく使うコードとほぼ一致します(第5章)
五度圏を1周聴いてみましょう

C から完全5度ずつ上へ。12回まわると、ちゃんと元のCに戻ってきます。

短調(マイナースケール)

明るいメジャースケールに対して、切ない響きがマイナースケール(短音階)です。から白鍵だけを並べると、それになります。

距離のパターンは全・半・全・全・半・全・全。メジャーとは半音の位置がずれています。これが自然的短音階(ナチュラル・マイナー)です。

平行調と同主調

この2つは、混同しやすいので要注意
  • 平行調 … 使う音がまったく同じで、主音だけが違う関係。ハ長調とイ短調。調号が同じなので、曲の途中で自然に行き来できます
  • 同主調 … 主音が同じで、明暗が違う関係。ハ長調とハ短調。調号は変わります。「同じ場所の、昼と夜」のような関係です

平行調の主音は、長調の主音から短3度下(=スケールの6番目の音)。ハ長調ならラ、ト長調ならミ、ヘ長調ならレ。

短音階には3種類あります

ここが短調のややこしいところ。でも理由を知れば、あっさり納得できます。

名前イ短調で書くと特徴と理由聴く
自然的短音階
ナチュラル・マイナー
ラ シ ド レ ミ ファ ソ ラそのままの短音階。素朴でどこか物足りない終わり方になる
和声的短音階
ハーモニック・マイナー
ラ シ ド レ ミ ファ ソ♯7番目を半音上げる。ラへ強く戻る力が生まれる。ただしファ↔ソ♯が増2度になり、エキゾチックな響きに
旋律的短音階
メロディック・マイナー
ラ シ ド レ ミ ファ♯ ソ♯6番目も上げて増2度をなくし、歌いやすくしたもの。下りるときは自然的に戻すのが古典の作法
なぜ7番目を上げるのか=これがコード理論の核心です

自然的短音階のままだと、主音ラの半音下に音がありません(ソ→ラは全音)。半音で迫る音がないと、「帰ってきた!」という決着感が弱いのです。

そこでソをソ♯に上げると、ソ♯→ラという半音の引力が生まれます。同時に、5番目のコードが Em から E7 に変わり、強力に戻りたがるコードになる
スケールを変えたのは、欲しいコードを作るためだった——このつながりが、次の第5章の主役です。

15調のスケール譜例

TOKYOミュージックカラー音楽教室のオリジナル教材「基礎練習シリーズ【スケール】」より、全15調の譜例です。音の並びの形はどの調も同じ、調号だけが違うことを確かめてみてください。

そのほかのスケール

世界には、長調・短調のほかにもたくさんのスケールがあります。アドリブやアレンジで“味”を出すための道具箱です。ここでは名前と響きだけ紹介します(使い方は第9章)。

スケール構成どこで使う?聴く
メジャーペンタトニックド レ ミ ソ ラ5音だけ。ファとシを抜くので外れにくい。童謡・唱歌・カントリー。日本では「ヨナ抜き音階」と呼ばれ、演歌や唱歌の定番
マイナーペンタトニックラ ド レ ミ ソギターソロの王様。ロック・ブルース・歌謡曲。まずこれだけ覚えればアドリブが始められます
ブルーススケールラ ド レ ミ♭ ミ ソマイナーペンタにブルーノート(♭5)を1音足したもの。あの「泣き」が出ます
教会旋法(モード)7種類イオニアン/ドリアン/フリジアン/リディアン/ミクソリディアン/エオリアン/ロクリアン。ジャズ・映画音楽・ゲーム音楽の色付けに
琉球音階ド ミ ファ ソ シ沖縄音楽そのもの。レとラを抜くだけで一瞬で沖縄になります
都節音階ミ ファ ラ シ ド日本の伝統的な音階。箏曲や時代劇の情緒。半音を含むのが特徴
全音音階ド レ ミ ファ♯ ソ♯ ラ♯すべて全音。中心がなく、夢・幻覚・浮遊の表現に。ドビュッシーの得意技

キーが分かると、なにがうれしい?

できるようになること
  • 移調ができる … 「歌うには高すぎる」曲を、まるごと下げられます。カラオケの♯♭ボタンと同じことを自分でできる
  • 耳コピが速くなる … キーが分かれば、使われるコードはだいたい7つに絞れます(第5章)。総当たりで探す必要がなくなる
  • アドリブができる … そのキーのスケールを弾いていれば、基本的に外れません(第9章)
  • ギターのカポの位置が計算できる … 何フレット目に付ければ簡単なコードで弾けるか、五度圏で分かります
  • 合わせやすい楽器が分かる … 吹奏楽で♭系の調が多いのは、B♭管・E♭管の楽器が多いからです

第4章のまとめ

この章で覚えたこと
  • スケール=12音から7音を選ぶルール。メジャーは全全半全全全半
  • キー(調)=そのスケールを、どの音から始めるか。始まりの音が主音
  • 調号の順番は♯=ファドソレラミシ/♭=シミラレソドファ(互いに逆順)
  • キー判別=♯は右端の半音上、♭は右から2番目(♭1つはヘ長調)
  • 五度圏は調の地図。右へ♯、左へ♭、内側が平行調
  • 短音階は3種類。7番目を上げるのは、強く戻れるコードを作るため
  • 平行調=音が同じ/同主調=主音が同じ

キーが決まると、そのキーの中で使えるコードが自動的に7つ決まります。次の第5章では、その7つ——ダイアトニックコードを手に入れます。ここが理論の心臓部で、作曲がいちばん一気にできるようになる章です。

< もくじにもどる

スケールを実際に練習してみたい方へ

スケールは指と耳に入れてしまうのがいちばん早い基礎練習です。TOKYOミュージックカラー音楽教室では、オリジナル教材「基礎練習シリーズ」を使って、無理のない順番で15調を身につけていただいています。オンラインレッスンにも対応しています。

あとで見返す・家族に相談する

LINEの「Keepメモ」に送っておくと、あとからすぐ開けます。

練習に役立つ無料アプリ「マイミュージックカラー」

運指表、練習の記録、教材動画などをスマホでいつでも。
お住まいの地域を問わず、どなたでも無料でご利用いただけます。

  • 登録・利用は無料です。教室に通っていない方もご利用いただけます。

加古川・明石・姫路・播磨エリアにお住まいの方へ

■TOKYOミュージックカラー音楽教室は、兵庫県加古川市を中心に教室を開いています。お近くの方は、ぜひ一度体験レッスンで楽器に触れてみてください。

■お問い合わせはメールフォームもしくは公式LINEから承っております。

全国の教室を探す

TOKYOミュージックカラー音楽教室 教室をさがす