楽譜に出てくる C Cm C7 CM7 Csus4 Cdim Caug Cadd9 C6——この章で、ぜんぶ制覇します。
とはいえ丸暗記はしません。第2章で手に入れた度数を使えば、記号の意味はたった3グループに整理できます。
どんなに複雑なコードネームも、この3つの組み合わせでしかありません。たとえば Cm7(♭5) は「①3度を短く+②5度を下げる+③7度を足す」。それだけです。
この章の図版は、TOKYOミュージックカラー音楽教室のオリジナル教材「はじめてのコード」から。五線譜と鍵盤の押さえる場所が一目で分かります。
コードの明るさを決めているのは3度でした(第1章)。この3度を、下げたり・ずらしたりするグループです。

すべての基準になる形。何の記号もついていなければ、それはメジャーコードです。明るい・素直・安定。曲の始まりと終わりに置かれることがいちばん多いコードです。
記号なしが基本ですが、まれに CM や Cmaj と書かれることもあります。同じものです。

切ない・落ち着いた・大人っぽい。3度をたった半音下げただけで、世界の色が変わります。バラードでも、ロックでも、アニソンでも、感情を動かしたいところに必ず出てきます。
m は minor(マイナー)の m。Cmin、C− と書かれることもあります。

明るいとも切ないとも言えない、宙ぶらりんの響き。3度がいないので、明暗が決まらないのです。だから聴き手は「早く3度を聴かせて!」と感じます。このじらしこそが sus4 の仕事。
sus は suspended(サスペンデッド=吊るされた)の略。まさに宙づりです。ふつうは Csus4 → C と、すぐ解決させて使います。
3度を4度ではなく2度にしたものが sus2(ド・レ・ソ)。sus4 よりも透明で、爽やかで、開けた感じになります。アコースティックギターの弾き語りやポストロックで大活躍。
5度はコードの背骨で、ふだんはいちばん安定しています(第2章)。この背骨をわざと曲げると、不安や浮遊感が生まれます。

不安・緊張・ミステリー。短3度+短3度で積まれていて、どこにも落ち着けません。ホラー、サスペンス、事件が起こる直前——そういう場面の常連です。
実際の曲ではコードとコードの“すきま”を埋める通過和音としてよく使われます(第7章)。
dim は diminished(ディミニッシュト=減らされた)。C° と書かれることもあります。

ふしぎ・浮遊・時間が止まる感じ。長3度+長3度で、こちらも上下が対称です。ふわっと持ち上がるので、次のコードへ引っぱっていく力があります。
使いどころの定番は C → Caug → F。真ん中でソ→ソ♯→ラと1音だけ上がっていく仕掛けです。
aug は augmented(オーギュメンテッド=増やされた)。C+、C(♯5) とも書きます。
dim7 は短3度を等間隔で積んだ和音、aug は長3度を等間隔で積んだ和音です。等間隔なので、転回しても同じ響きのまま。つまりどこへでも進める万能の乗り換え駅になります。ジャズやクラシックで転調のときに重宝されるのは、この性質のためです。
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メールアドレスまたはLINEで、1分ほどで登録できます。三和音の上に、さらに音を積んで色をつけるグループです。「おしゃれなコード」と呼ばれるものは、ほぼ全部ここ。

次に進みたくてたまらない響き。ブルース、ジャズ、ロックンロールの土台であり、盛り上がる直前に必ず顔を出します。
なぜ進みたがるのか。ミ(3度)とシ♭(7度)の距離が増4度=トライトーンだからです(第2章)。あの不安定な音程が中に入っているので、コードそのものが「早く落ち着かせて」と訴えてきます。
正式には「ドミナント7th」。M7 とは別物なので、記号を混同しないよう注意してください。

おしゃれ・都会的・ふわっと浮いた感じ。シティポップ、ボサノヴァ、AOR、おしゃれカフェのBGM——あの空気はほぼこのコードが作っています。
C7 と違って進みたがりません。むしろその場にとどまって余韻を楽しむコードです。曲の最後を C ではなく CM7 で終わらせると、一気に洗練された印象になります。
CM7・Cmaj7・C△7 は全部同じ。大文字のMである点が命です。

やわらかい・あたたかい・ちょっとレトロ。7度ほど主張が強くないので、明るいまま少しだけ大人にしたいときにぴったりです。ジャズの終わりや、ハワイアン、ディズニー系の曲でよく登場します。
おもしろい事実:C6(ド・ミ・ソ・ラ)と Am7(ラ・ド・ミ・ソ)は構成音がまったく同じです。いちばん下に何を置くかで、名前も役割も変わります。

きらきら・透明感・広がり。三和音のままで7度は足さず、9度(=2度の1オクターブ上)だけを足したコードです。
7度が入っていないのでジャズっぽくならず、すっきり明るいままキラッとします。アコギの弾き語り、バンドのイントロ、ゲーム音楽の朝の場面。使いどころは無限です。
7度が入っているかどうか、それだけです。
「9・11・13」という数字は7度を積んだうえで、さらに上へという合図。だから C9 と書いたら7度は自動的に入ります。7度を入れたくないときだけ add と書くわけです。
マイナーコードにも同じように7度を足せます。数がぐっと増えるように見えますが、やっていることは①と③の組み合わせだけです。
| コード | 読み方 | ドから作ると | キャラクター | 聴く |
|---|---|---|---|---|
| Cm7 | シーマイナーセブン | ド・ミ♭・ソ・シ♭ | 切ないけれど、やわらかい。いちばん使用頻度が高いマイナー系 | |
| Cm7(♭5) | シーマイナーセブンフラットファイブ | ド・ミ♭・ソ♭・シ♭ | 切なさ+不安。マイナーキーの定番進行の入口(第5章) | |
| CmM7 | シーマイナーメイジャーセブン | ド・ミ♭・ソ・シ | 妖しい・危険な色気。スパイ映画やタンゴの香り | |
| Cm6 | シーマイナーシックス | ド・ミ♭・ソ・ラ | 切ないのに、どこか洒落ている | |
| Cdim7 | シーディミニッシュセブン | ド・ミ♭・ソ♭・ラ | 完全な不安。等間隔なのでどこへでも進める |
7度の上にさらに積んでいくのがテンション。「もっと色を濃く」というつまみだと思ってください。積むほどジャズ寄り、濃厚になります。
さらに、テンションを半音ずらすと、もっと刺激的になります。これをオルタードテンションと呼びます。
| コード | どんな響き?/どこで使う? | 聴く |
|---|---|---|
| C7(♭9) | ぐっと暗く、緊迫する。マイナーキーへ進むときの定番 | |
| C7(♯9) | 荒々しくブルージー。通称「ジミヘン・コード」 | |
| C7(♯11) | 透明でクール。フュージョンや映画音楽の浮遊感 | |
| C7(♯5) | ひずんで押し上げる。次のコードへ強く引っぱる |
「そういうものが上にあるらしい」と知っておけば十分。まずは三和音と7thを自由に使えるようになるほうが、圧倒的に曲作りに効きます。テンションは第9章で、アドリブと一緒に扱うほうが理解しやすいです。
この表の「ド」を別の音に置き換えるだけで、12種類すべてのルートに使えます。
| コード | 読み方 | 構成音 | ルートからの半音 | キャラクター | 聴く |
|---|---|---|---|---|---|
| C | シー | ド ミ ソ | 0-4-7 | 明るい・安定 | |
| Cm | シーマイナー | ド ミ♭ ソ | 0-3-7 | 切ない | |
| Csus4 | シーサスフォー | ド ファ ソ | 0-5-7 | 宙ぶらりん・じらす | |
| Csus2 | シーサスツー | ド レ ソ | 0-2-7 | 透明・爽やか | |
| Cdim | シーディミニッシュ | ド ミ♭ ソ♭ | 0-3-6 | 不安・ミステリー | |
| Caug | シーオーギュメント | ド ミ ソ♯ | 0-4-8 | ふしぎ・浮遊 | |
| C6 | シーシックス | ド ミ ソ ラ | 0-4-7-9 | やわらか・レトロ | |
| C7 | シーセブン | ド ミ ソ シ♭ | 0-4-7-10 | 進みたい・ブルース | |
| CM7 | シーメイジャーセブン | ド ミ ソ シ | 0-4-7-11 | おしゃれ・とどまる | |
| Cm7 | シーマイナーセブン | ド ミ♭ ソ シ♭ | 0-3-7-10 | 切なくやわらか | |
| Cm7(♭5) | シーマイナーセブンフラットファイブ | ド ミ♭ ソ♭ シ♭ | 0-3-6-10 | 切なさ+不安 | |
| CmM7 | シーマイナーメイジャーセブン | ド ミ♭ ソ シ | 0-3-7-11 | 妖しい・色気 | |
| Cdim7 | シーディミニッシュセブン | ド ミ♭ ソ♭ ラ | 0-3-6-9 | 完全な不安 | |
| Cadd9 | シーアッドナイン | ド ミ ソ レ | 0-4-7-14 | きらきら・透明 | |
| C9 | シーナイン | ド ミ ソ シ♭ レ | 0-4-7-10-14 | ファンキー | |
| CM9 | シーメイジャーナイン | ド ミ ソ シ レ | 0-4-7-11-14 | 極上におしゃれ | |
| C7sus4 | シーセブンサスフォー | ド ファ ソ シ♭ | 0-5-7-10 | じらす+進みたい。サビ前の王様 |
C以外のルートも、同じ9種類がそのまま作れます。後ろの記号のルールは、どのルートでも完全に共通。画像をタップすると大きく表示できます。
※図版はTOKYOミュージックカラー音楽教室のオリジナル教材「はじめてのコード」より。♯・♭のついたルート(C♯/E♭など)も、ルートの音を半音ずらすだけで同じ形になります。
これでコードの「部品」はそろいました。ところが実際の曲では、使えるコードがなんでもいいわけではありません。曲にはキーがあり、キーごとに「仲間のコード」が決まっているからです。
次の第4章では、その土台になるスケールとキーを見ていきます。
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